orangestarの雑記

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文藝ハッカソン!やってきました!

文藝ハッカソンって?

山田しいた先生の作品『乙女文藝ハッカソン』内に登場する架空の競技で、ハックとマラソンを合わせた協議ハッカソン(こっちは現実にある)を文芸に適応したもので、6時間~12時間の制限時間を設けて、複数人で一つの作品(1万字から5万字)を喧々囂々しながら仕上げるというもの。すごく楽しそう。
すごく楽しそうのなので、あちこちでやりたいやりたいといっていたら友人がセッティングしてくれました。超感謝。
そして、この間の土曜日、友人ふたりと、友人の友人ふたりの5人でハッカソンをしてきました。

文芸ハッカソンしてきた。

思ってた通りすごく楽しかった。
本来は実際に顔合わせてやるものなのだろうけれども、ボイスチャンネルとscrapboxの併用で何とかなった。(scrapbox用意してくださったひとまるさん、ありがとうございます)
本来は競技という設定なので、複数組で競い合うようにやるのだろうけれども、今回は『本当に作品を仕上げることが可能なのか』ということを検証する目的もあったので、競争はなしで。

【時間制限6時間、文字数1万字の小説をかく】

という条件で行いました。

実際にやってみた感想としては、一人で文章を書くのとは別の部分の脳を使う感じ。コミュニケーション脳と創作脳の両方を使ってるのでかなりヘロヘロになる。やってる最中はなんか脳から汁が出てるっぽくてすごい楽しい。ランナーズハイに近いのかも。
問題は楽しすぎて、『自分自身の作品を出力しないと圧』が抜けてしまうことだと思った。色々と満足してしまう。
あと、物凄く疲れた。6時間を終わったあとの虚脱がすごかった。そのあと2時間くらいぼーっとしてて。ハッカソンするときの時間の調整、作業の6時間の後、休める時間も確保した方がいいな、と思った。(そうするとまた、スケジュール調整が大変なんだけど)

出来上がり、かなりいいものができたと思ってる…んだけど実際どうなんだろう。作ってる時ハイの影響もあり、冷静な判断ができてない気もするけど…でもかなり面白いものができたと思う。自分一人では絶対に書かないような物語だ。

自分一人で物語を考えるときには思いつかない展開や、思いついても収束できないような展開がバンバン提案されて、それが、何とか収束していく様子をみてると違うけれどもなんか自分が頭がよくなったような気がする。また、ハッカソン中の出来事を思い返すと、色々発言があったことは覚えているのだけれども、どれが自分の発言で、誰の発言だったのかがすごい曖昧になっている。脳が外部化されているというか、そんな感じの体験をした。6時間のハッカソンでもそういうようなことを感じたので、12時間のハッカソンとかしたら、トランス状態みたいな『なんか今すごく頭がよくなってる感じ』がするんじゃないだろうか。と思った。一回やってみたい。(そのあとは今回の比じゃないくらい超疲れて大変だと思うけど)

また、やってみたい。今度は、2チームくらいで、競い合いながらやるというのもやってみたい。

そして、出来上がった作品がこちらになります。
kakuyomu.jp
ちゃんと面白いものになってますので、読んでみてください。都市伝説と百合だよ。百合?

当日のだいたいの流れ。

【参加者】
小島アジコ
アリカ
からすとうさぎ
壕野一廻
もちむら萬寿

【お題】
お題は診断メーカーを使う。
1つだと広がりすぎてまとまりにくそう、3つだと3つ目を無理やり入れることになりそうなので(大体の三題噺ってそうなりがち)診断メーカーで最初に出てきた2つをお題として使う。

お題「ココア」と「悪夢」
ここからタイマー6時間。

それぞれココアと悪夢から連想されるキーワードとかお話とかをとりあえず話していく。

ココア→眠れない夜に飲む、とか、冬の夜とか、ココアは味が濃いので毒を入れてもばれない、とか、
cocoa(接触アプリ)とかいう案もあって、それで『悪夢のような状況』とかでもいいのでは、とか、

なんか色々話していくうちに、
『ココアを売る謎の少女がいて、その少女が売っているココアを飲むとなんか悪夢をみる』という方向に固まっていった。

そこから、それに対してアイデアだし。

猿の手、アンテン様、笑うセールスマン系の話?
少女のプロフィールは?
ココアである必然性が物語にある?
どんな悪夢を見る?
お話の構造はどうする?

とか。
それに対して、巨大なココア工場がある町が舞台とか、見たい夢が見れる、とか、飲んだ人はいい夢が見れるけどその代わりに少女は悪夢を見るとか。オムニバスにするかとか。誰目線の話にするか。とか。自分ひとりでは短時間でこれだけでないので、人数多いとアイデアだしはかどるな、って思った。

色々なアイデアが出そろったところで、5人それぞれが出てアイデアを基に『あらすじ』をかくことに。大体1000文字くらい。

で、出てきた5案の中から、『物語としてしっかりしているもの』と『キャラクターがいいもの』の2択になり、書きやすさとかを考慮して、投票の結果『キャラクターがいいもの』で行くことに。

そのあと、決定されたあらすじを5分割して(内容的に2000字くらいになるだろう想定をして)、それをそれぞれ分担して、細かい(小説を書き出していく用の、シーンごとの)プロットを書いていき、それをガッチャンコした。ガッチャンコしたものを見ながら、伏線とか、キャラクターの性格とか、エピソードの整合性をとるための修正をがつがつと詰めていった。
自分では考えないようなアイデアや、思いついてもうまく書けないからなかったことにするような展開のアイデアが出てくるのが面白かった。それが採用されて行って、組み込まれていくのとかみてるのも。

そして、キャラクターの名前決め。なかなか決まらずにここで結構無為に時間を食ってしまった気がする。
名前診断メーカーでつけようって話になって診断メーカーを動かしてもしっくりとくる名前が出てこない。
安易だけど、ココアつながりで、『森永セイカ』とかどうだろうって話になり、それが採用になる。じゃあ、相方は?っていうことで、ココアを作ってる会社を検索して、そこの商品を検索したりで、また時間がかかった。バーホーテンというアイデアもでた。外国人。苗字は小岩井に決まったけれども、下の名前が決まらない。『小岩井まきば』は何となく登場するキャラクターとあってない。結局、主人公とその友達につける名前を入れ替えると落ち着く、ということで、『小岩井まきば』と『森永セイカ』に決まった。
結構時間がかかったけれども、名前が決まると世界観とか世界のシリアス度とかが一気に煮詰まった感じがした。

詰めて、詰め切ったものを、またそれぞれに持ち帰って、本文を書きこんでいく。
共有のところに直接書き込んでる人もいたので、その内容を見ながら反映させて書いていった。

実際書き出してみると、文章量の多いところと少ないところの差が大きくて、最大2000字くらい文字量の差が出てしまっていた。それはちょっと次の課題だと思う。始める前は一番しんどい箇所だと思ってたんだけど、一番楽だった(自分の場合)。プロットがしっかり煮詰まって決まってたので、悩まないで書けるっていうのがよかったのだと思う。

そして最後、文章を持ち寄ってくっつけて、他のところのエピソードとの整合性をとるためにエピソードの修正をしたり、しゃべり言葉の修正をしたり。時間ギリギリまで粘ってその作業をしてた。

で、終了。

終了後、タイトル決め。みんなタイトル決めるの苦手みたいだった。なかなかタイトルが共有に上がってこなくて、どうしたのかと思ったら「ほかのひとがいいの出してくれるのまってた」とか。
結局すごい提案があり、みんなそれに乗ることに。天才か。
途中から、みんなココアを薬物扱いしていて、地の分で『ココアをやる』とか『ココアをキメる』とか書いてるのが面白かった。

当日利用したscrapboxの跡がこちら
scrapbox.io
音声チャットで会話をしながら、こういう風にやり取りをしていました。


すごく楽しかったです。機会があればまたやりたい。ハッカソン人口が増えると面白いし、社会現象になれば、乙女文芸ハッカソンの続編も読めるかもしれないので、みんなもやろうハッカソン。

あ、あと一つ後悔してることがあって、いざ文章を書き始めるタイミングで「よーい、ハッカソン」の掛け声ができなかったところ。

kakuyomu.jp