- 要約:若者はお金がないから草食化したよ。
- なぜお金がなければ恋愛が出来ないかというとバブルの残り火のせいだよ。
若者の草食化の要因は自由になるお金の額ではないと思う - More Access! More Fun! %
- 要約:若者はスマホがあって、結構緩く繋がってるから彼氏彼女を作る必要がないんだよ。
もともとの“若者が草食化している”という根拠が、中日新聞の大学生50人のアンケートで、というところからどうにも土台がおかしいところに柱と屋根を立てていっているような感じがするなあと思ったので、ちょっといろいろと調べて考えてみた。
するとちょっと別の色々面白いことが見えてきたからここにメモ代わりにアップする。
ですので。あんまり、結論めいたこととか新しい視座の話とかはないです。
とにかく、大学生50人というサンプルが少なすぎる。おそらく地域もそんなに広範囲にわたっていないだろうし、進学率 - Wikipediaによると大学進学率は50%なので、どうにも偏ったサンプルのような気がする。
比較的参考になりそうな資料ということで第14回出生動向基本調査/国立社会保障・人口問題研究所をあたってみた。政府資料です。
1987あたりからの未婚者の交際の状況
で、この記事をみると、男女ともに、婚約者、恋人として付き合ってる異性の数が徐々に減ってきている。ただ、1,2%という増減なので、ここから、草食化している、と導くには弱い気がする。
それよりも顕著なのが“友人として交際している異性がいる”の項目。1987年には男性平均23.6%だったのが2010年には9.4%にはそして、対応するように“交際している異性はいない”の項目が47.3%から61.4%に増えている。
実際の恋愛してる人間よりも、恋愛予備の人間の割合が減っている事に対して、なにか、こう、思いつきそうだけど結論は置いておいて他の資料をみてみる。
男女の性経験割合について
実際の草食化云々を感情的なものを抜きにして、物理で考えるなら、性経験の割合の構成というのは一番的確だと思うので、この資料。
性経験ありの割合が97年で上がりきって、そこからあまり変わらない感じ。(女性の経験割合が97年を境にものすごく上がっているのは、バブルの影響なのか、それとも、今まで告白しなかったのを告白するようになったのかは不明、ただ、男女とのそれを考えるに、どちらにしても性経験率はだいぶ増えたものと思われる)
ちょっと気になった数字が、19歳以下の男女の性経験の割合についての数字で、1997〜2005と経験ありが、32%くらいだったのが、2010年で26%くらいになっていること。(それでも1987水準に比べると高い)これが、性経験率が下がる傾向にあるのかどうかは次の調査をみてみないと分からない。
交際相手をもたない未婚者の割合
ちょっと前年との比較がないので、どれだけ交際を望んでいる人が増えたか減ったかはわからないのですが、色々と興味深いところがあるので。前出の表と数字が同じなので、これは“友人としての交際を含めた男女交際が無い人間”の割合のグラフになります。
男女とも、前回調査に比べて増えていますがそれよりも、個人的に気になったのは、男女の、交際相手がいない率がことなること。(〜交際している異性〜となっているので、同性愛の可能性は除外)男性の方が年上で上方にずれている可能性も考えましたが、先の表の下に、35〜39歳の割合の表もありまして、そこをみると同様に男性の付き合ってる人いない率の方が高いのです。
ここから二つの可能性。女性の方が、一方的に付き合っていると思い込んでいるカップル?が多い。もう一つは少数の男性が複数の女性と付き合ってるということです。おそらく後者です。神さまなんでいなかったね。
それぞれの年代の“結婚の利点”について
男性の場合、社会的信用が得られる、という部分と生活上便利になる、という項目が年ごとに低下していって、また、女性の場合、経済的余裕がもてる、がとくに前回調査から急上昇しています。
あと、ともに上昇しているのが子どもや家族を持てるというものそして、ちょっと気になっているのが、たぶん子どもや家族を持てるとある程度の関係がありそうな“親や周囲の期待に応えられる”、これも上昇しています。
そして男女ともに、“精神的安らぎの場が得られる”と“愛情を感じている人と暮らせる”というポイントが下がっているところ。ここに絡めてくると、また女性の“経済的余裕がもてる”がまた別の意味を持ってきます。また、これは“既婚者にどうだったのか”を聞いているアンケートではなく、“未婚者にどうおもうか”を聞いているアンケートなのがポイント。
他にも色々興味深いグラフや図表があるんで、まあ、各人観てもらえればいいと思うんですけれども。
個人的に、この資料をみて、
(id:p_shirokuma)先生の言っていることは大体あっているけれども、現状はもう少しシビアなのではないか。ということを思った。
草食系というあいまいな存在が出てきたというより、恋愛の中間層がいなくなった。
そしてその原因はやっぱり“お金がない”事だと思う。
資料から読み解ける分、性交開始年齢や恋人として交際してる率からみると、特に世代全体が草食化(どうでもいいですけど草食化って言葉、人間を文系理系、血液型で分けるくらい嫌い。根拠のない印象で人間をカテゴライズしてまともな議論ができるわけがない)したわけではなく、友人として異性と接している層がごっそりと減っている、恋愛予備軍みたいな人間が少なくなった、といえそう。
友人としての男女交際というのを、男女交際モラトリアムとして考えると、その猶予期間がないということは、そういうのに割いているコストがないということ、そのコストとは時間とか、お金とか、関心とか、そういうエネルギーも含めて。そして、結婚観に対して、愛情とか、安らぎの項目が下がっているのに、子どもや家族をもてる、の項目が上昇しているのが、“子どもや家族”というものが、個人に影響するものではなく、個人に関係する社会的背景に対して影響するもの、家族とか地縁とか、に対しての門になっているのではないかなあ1987時点の数値に戻ってきているし、というのは感じるが、しかし、“愛情ややすらぎ”の項目が1987の時点よりも下がってまだまだ下がる感じがあるというのが、どうにもなんか、これあかんやつやないの?感がある。実際の結婚がどうのよりも結婚に対してそういうイメージを持っているのが。
結果として、だいたい、(id:p_shirokuma)先生がオタクヤンキーサブカルチャーと郊外論をするときに問題だなあって書いていることが、数字的に結構示されてしまっているのかなあって感じがする。
高度経済成長が終わって、全体的に昔基準に戻らないといけないのに、価値観だけがバブルってた時のままで、そして、地縁とか血縁とか実利的に必要になってきて、そういう関係性だけは強化されつつあるのに、その地縁血縁を補完する文化の部分が置いてきぼりになってしまって、歯車がかみ合わずに、男女交際という形にすすまない。それが、表面的にみると、“草食化”という風に見えているだけではないのかなあと思いました。(小並感)
- 作者: 熊代亨
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あ、わすれてた。そんじゃーね!!