- 作者: 三部けい
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2016/04/27
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特に自分が心に残ったところは、いろいろな状況から助かった雛月が、車に乗って遠くへ行ってしまうところと、大人になって再開した雛月が、普通の人になっていたところ。
遠ざかる車のノスタルジー
車に乗って遠ざかっていくシーンは、結局子どもの力ではどうにもできない無力さと、その中で出来ることの象徴になっていてよかった。ジュブナイル的に、子どもの力で小さな事件、事象を解決できても、最後、その子供たちの冒険や物語が終わってしまった後は、最終的に大人の手にゆだねないといけない感じが、すごい、“子どもの世界の限界”を思い知らされてくれて、でも、それでも、どこか遠くで、雛月が幸せになってくれるということを信じられることで、良かった、ということが良かった。
小学校の卒業式で、校区が違って離れ離れになる友だち、転校して、もう会えなくなってしまう友だち、とても仲がよくてずっと一緒に居よう、ずっと友達でいようって約束したのに、もう二度と会えなくなる、っていう感覚を思い出して切なくなった。こういうの思うの自分だけかもしれないけれども。
それにしても、今の子ども達は、携帯もあるし、LINEもパソコンもあるので、遠くに行った友達との連絡手段があるし、そういう感覚ってわからんのかもなーってちょっと思った。物理的距離が隔たれてしまうことで、そこで関係性が分断される感覚。
逆に、徐々に連絡するLINEや話題がなくなって、徐々に距離が離れていっていつの間にか友だちでなくなってしまう、という別の種類の寂しさのようなものはあるのかもしれない。想像だけど。
普通じゃない女の子
あと、大人になった雛月が普通の人になっていたのが良かった。小さいころの雛月は、どこか人に心を閉ざしているところがあって、陰の気というか、絶望とか諦め、とかそういうものを宿した女の子で、それがキャラクターとしての魅力になっていたのだけども、大人になって再開した雛月が、そういう魅力のない、まるでモブみたいな普通の人になっていて、それが、とても、良かった。嬉しかった。
そういう、“普通”を手に入れるためにずっと頑張ってきて、そして、それが、(例え本人が望んだ道筋で得られなかったとしても)そういう風になって、それが、なんというか、とてもよかった。
あと
嫁にはBLだということを明かさずに見せた。
無垢な心で観てほしかったので。
予想通り、見終わったあと大変なことになっていた。
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