orangestarの雑記

小島アジコの漫画や日記や仕事情報など

書いたものをどうやって『読んで』もらえるか、という話

漫画とか小説ってどうやったらよんでもらえるんだろうな、っていつも考えてる。
「情報」を受け取って「処理」をするということが『読む』という事なんだけれども、ただそれだけのことがとても難しい。「情報」を受けとる前にその「情報」は価値があるものだって思ってもらわないといけない

矛盾がある。タイムマシンじゃん。情報を知る前にその情報が何かを知ってもらわないとまず読んでもらえない。不可能。もうここで訳が分からなくなる。

まあ、商業的にとか理論的には解決されている問題で、一言でいうと『宣伝』ということになるんだろうけれども

でも、これそんな簡単なことじゃないと思うんだよな…うまく言えないけど……





「情報」を受け取って「処理」をするということが『読む』と定義する。でも「処理」ってなんだよ……。その情報をその人のなかで変換して(ちょうど食物をとるみたいに)消化して吸収する、というのが、「処理」だと思うんだけれども、その「処理」って人それぞれ違うブラックボックスじゃん…

一応教本のようなものはあるけどさ。人の心の動きが分からない以上、何が面白くて何が面白くないなんてわからないんじゃないのか…そう思ってくると行間に意味を込める、空白に意味を込めるということがとても怖くなってくる。だって、そこにはないも書いてないのに…?




「読んでもらう事」を一番かんたんな式で書くと
『リーチ』×『精度』×『作品の面白さ』になる。これは、それぞれ単独ではなく、一部領域が重なってる部分もあるんだけど、まあ、概念としてこの3つに分けれる。

『リーチ』っていうのは、一言でいうと宣伝。その作品がそこにあるって言うことをしってもらうこと。そして、『読む前にその作品が面白いと知ってもらう事(矛盾)』

『精度』っていうのは、作品の丁寧さ、口当たりの良さ。小説だったら文体であったり、構成であったり、どれだけ基本の脚本術を理解して読みやすくしてあるかっていうこと。漫画であったら画の綺麗さであったり構図であったり。セリフ回しであったり、視線誘導であったり。つまり『読める』ということ

そして『作品の面白さ』……作品の面白さ……?俺は何を言っているんだ……?
実は、作品の面白さ、というものは、解体すると『リーチ』と『精度』に分解されてしまう。

『リーチ』の中には作品の概要、コンセプトが含まれる。一言で面白いって分かること。売り文句、作品のテーマ、魅力的なキャラクター、凡庸ではないという証明。これらは全て『リーチ』に含まれる。まず、作品を“読む前に”面白いと分かるために必要な部分。

そして『精度』これは作品を“気持ちよく読める”ということ。技術であり、才能でもある。構成、デザイン、文体、余白、トリック。コンテンツを成立させるすべての物理的な要素がこの『精度』に含まれる。

そう…作品の面白さ、というものは全て『リーチ』と『精度』で決まってしまう……。はずなんだけど……。でも、どちらもダメで、でも、すごく面白い作品もある……あるんだ…。ここで作品を上げるとものすごく失礼になるので名前は出せないけれども(そしてそのリーチも精度も自分の観測からなるので、他の人からみたら全然違うように見えるだろうし…そう、厄介なことにこの『リーチ』と『精度』というものは受け手の主観によるものなので、万人に対しての尺度ではないのです……もう…わけがわからない……)

ここから先が本当に謎なんだ…俺には答えをだすことはできない…誰か…これを読んだあなた。どうか真相を暴いてください。それだけが私の望みです。