orangestarの雑記

小島アジコの漫画や日記や仕事情報など

舞台アリスインデッドリースクールビヨンドにいってきた。

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観劇感想

まとまって書こうとするといつまでもまとまらないので箇条書きで

  • 一言でいうととてもよかった。いろんなものがきれいに調和を取れている感じでいうと今までのデッドリーで一番だと思う。
  • どんな緊迫した状態でも出てきてバカなことを言うだけで空気が変わるユウの子の演技がすごいと思った。
  • 空気読めない演技、空気読まない演技を要求される場面が多い芝居で、それぞれ、空気を読んでタイミングよくその緊迫した場なり空間に飛び込んでいかないといけないんだけど(ややこしい)ユウだけでなくほかの子もそこらへんがすごい絶妙なタイミングで。ミズキの子も、ドウモトの子もとてもよかった。
  • ノブの子の、ありがとうございました、はとてもよかった。
  • あと、紅島はずるいな!何やってもかっこよくなってずるいな!
    • 紅島の人は、強いけれども虚勢を張ってるところがあって、それをぎりぎり完璧に隠せてるレベルで表現する、っていう難しいんだけれども、そういうのがちゃんと出ててすごいなと思った。あと、キャスティングの妙なんだろうけれども今回柏村さんの山本太陽くんが。
  • 今回山本太陽くんの柏村がすごいよかった。
  • 山本さん自身の演技の安定感もあるんだけれども、出てきた瞬間に場の空気がすごい安定して「あっ!大人が来た!」って感じになるのがすごいいい。紅島さんが、虚勢を張って、みんなを束ねてるときと違う感じ、安定感がある感じが出て、それがその後、ここを出て行く選択をする前振りとしても機能してる。(不安定→安定→不安定→脱出)
    • 大人がきた!安心!っていう感じがすごい出るようになったので、
  • あと、あんま芝居とは関係ないけれども、キャストの子みんな仲良くなってるんだろうなってのが、伝わってきてよかった。仲良く遊んでるシーンとか、距離感が。
    • ミズキが最初の啖呵を切るシーンとか、タバコをすいにいくシーンとか、周りに対してうまく距離感が取れなくて、拒絶していて、それを彼女なりに近寄ったりなんとかコミュニケーションをとろうとするハリネズミのジレンマ的なあれなので、周りの人のその拒絶とか、それによる孤立、みたいなのが。
    • なのでミズキが最後ライター自分でも持ってる、っていうシーンがちょっとわかりにくくなってると思った。あのタバコを吸って火をもらうシーンは「自分はタバコを吸うしライターも持っているけれども、コミュニケーションをとるためにタバコと火をもらいにいく」というシーンなんですよ。歩み寄りのシーンなんですよ。
    • ミズキの子がすごい演技うまかった。バーンってきてドーン!って感じ。
  • それにしてはヒカミのグルグル目のシーンではみんな、ものすごいドンびいてるのが伝わってきたな…。
    • そういう意味で、自分はミズキとドウモトが好きだったりしますよ。ドウモトってアレ、空気読めないキャラ、人間関係の距離感がうまくつかめないキャラだと思っていて(初演のときとかそういう要素が強かった)だから、あそこで、ミズキのATフィールドを突破して近くまでよっていけるという。
  • アリスインデッドリースクールの登場人物は、コミュニケーションスキルに難あり小学校だったら通信欄に書かれるレベルの子が多い。
    • そして、そのバリエーションが異なってる。ユウはバカだからだし、ミズキは非コミュだからだし、ヒカミは夢中になると周りが見えなくなるからだし(ヒカミの子「あ、この子科学部以外に友達いないんだな…」って感じがすごい)ドウモトは人との距離感がつかめないし、生徒会長は天然だし、そういう周りとのズレを持ってる子たちが屋上で偶然出会って、っていうのが、なんと言うかすごい好きだ。
  • イカリが事情を知らずに紅島を追い詰める(振りして実は高森を追い詰める)シーンがよかった。今回のイカリとトラが明確にキャラわけをされていて、すごい役割ができていた。高森さん人望厚いな。ここら辺は2回目に見ると、ああ!ってなるシーンが多いので、ぜひ2回見てほしいです。
  • ほかにも、2回目以降見ると気づく細かい演出がなされていて、そこらへんがすごい。別に気づかなくてもそのまま流せてしまうように作られてるのもすごい。
    • 今回の脚本は本当にテクニカルだと思う。
  • ライブの時に演出の人も言ってたけどすごい群像劇になってた。セリフも細かく想起させるものが増えてたし、圧縮されてる情報量がすごい。アイテムとかにも。sushiストラップよかったです。
  • 全員でシーンシーンの空気を作る舞台なので、しゃべってない、背景にいるときのほうが仕事重要なんだけど、それが今回すごかった。初めて会った子達が、どんな風に人間関係を構築するか、っていうのが無言の芝居でバックで行われていて、表でしゃべってる人たちがお話を動かしている間に、別のお話があるんだろうなっていう。保健委員のハルナとマイさんが高森の手当てをしていて、そこからトラと仲良くなって、で、トララインで漫画研究会と仲良くなって、っていうラインとか、そういうのが。
  • トラのこが、バックでとても動いていて、人間関係をうまくつないだりしていた。(イカリが高森先輩のそばからずっと離れないのでフリーになってるって言うのもあるんだろうけれども)そこらへんの細かい演技も見てると楽しいです。
  • 漫画研究会の子の二人が本当に楽しそうでよかった。
    • (で、よく見るとキリコとイナリ先輩ってあんまり一緒にいないんですよね……↓)
    • 登場人物は基本的にペアになってるんだけれども、ここの二人がとても楽しそうでよかった。花梨さんは本当にすごいなあ。花梨さんの夏樹とメグさんがすごい楽しそう。でもこの二人死んじゃうんだよね……。
  • 登場人物がそれぞれペアになってるんだけれども、それぞれ対比になっていて、で、漫画研究会が上下があるけれども、お互いがとても好き同士のペアで、そして、それが映画研究会のペアと対比になってるんですよね。映画研究会のイナリは死んじゃった誰かのことを思ってて、で、キリコはイナリのことを思ってるっていう。よさがある。
  • 今回のイナリは強そうで、だから、あ、これ、このイナリとキリコで「コワすぎっ!」ができるんじゃ?って思った。紅島先輩バット持ってるし。(禄でもない考え)ループもしてるし。たぶんコワすぎをするとヒカミはすごい勢いでSAN値が下がって死ぬ。ゾンビの投稿動画を取って、コワすぎ編集部に送ろう!
  • 生徒会長のカズマ姉ちゃん役の大蔵愛さんは、役に入り込みすぎて焼却炉に入るシーンの夢を見たらしくって、それ以来あのシーンをするのがトラウマ?になったらしい、すごい。
    • 生徒会長とシズカさんも、『不対称の二人』で、ずっと、一方的な矢印に見えるけれども実は最後、みたいなところがあって。そういう二人の不器用なところが見所なので、そこらへんが。
  • ノブとユウの演技で必要なのは演技の上手さではなくってどれだけ相手と合わせられるか、っていうので、今回もそれがとてもよかったと思う。それぞれのデッドリーで違うけれども、それぞれのユウとノブはみんな違うけれどもみんな正解のユウとノブだと思う。
    • 今回のユウの空気読めないのは、『空気を読みたいけれども、どうやって読んだらいいのかわからない、なんか、こういうのかなって思うけれどもいつも失敗してしまう子』で、だから、それにたいして、絶対に拾う!っていう安心感をノブが与えているからの最初っからのボケと突っ込みであり、そういう二人の信頼関係、というよりもなんだろう、補完関係?みたいなのがすごいよい。
  • 毎回デッドリーって役者の解釈が似てるように見えてぜんぜん違っていて、そこらへんが面白いので、再演があるたびに見に行きたいです。

演出、脚本、舞台とかの話

  • 今回、舞台がとてもよかった。すごいリアル。聞くところによるといつもとかかってるお金(材料費?)はそんなにかわらないらしくって、本当にじゃあ、舞台の人の手間だけの話なのか…?って思った。木で作ってるのに本当の鉄柵に見えるし、床の目地も本物のコーキングうってるように見える。汚しがきれい。すごい。
  • 初演できれいだったホリゾンがなかった。
    • 今回は見下げが大きい舞台なので、上からみるとホリゾンはきれいに見えないため、という理由でなしになったらしい。残念。初演のホリゾンの夜になっていく雰囲気は本当にきれいだったんですよ。
  • 照明、屋上のハト小屋についている屋外の蛍光灯がとてもよい。
    • ノブが出て行ったあと、優が残されるシーンでほかの照明も消えて、蛍光灯だけになるんだけれども、そこのシーンがとてもうつくしかった。
  • 初演のときは、夜になって蛍光灯がつくシーンで、『切れかけの蛍光灯がチッカチッカ』ってなる演出があって、それを見たとき感動したんですけれども(不穏さと、寂しさと、そういう『これから夜が来るんですよ』というのを一身にあらわしたすごい演出)。
  • で、アサクサさんが、照明の人に「あれもういっかいやってほしい」っていったら、「あれ、もうできないんですよ」と
  • アレは実は本当に切れかけの蛍光灯を使っていて、だからもうできない。って。
    • 初演で、途中で本当に蛍光灯が切れっぱなしになった可能性が微レ存。
    • 神がいる。
  • 今回濃厚になったループ要素だけれども、それは、物語上の理由のほかに、『悲しい出来事に対する安全弁』なんじゃないかとも思った。悲しいことが起こるけれども助かる可能性もありますよ、っていう可能性を示すことで、そのままつらいだけではないという。
    • アサクサさん自身がキャラクターにひどいことをさせられない人で、高森と紅島のタバコの話を漫画で入れることを最初に提案したときに、ヤダーーーーって言ってた。その理由っていうのが、「それだと、その悪いことをしたことの清算でしなないとならないみたいじゃん、そういう罪にたいして(物語上で)罰を与えるみたいなのはかわいそう(意訳)」っていうことで、あまりキャラクターにかわいそうなことをさせる台本がかけないんですけれども、今回入ってるのは、アサクサさん自身がその「ループ要素による安全弁」で書くことのできるキャラクターの悲惨さのレベルを少し引き下げられてるんじゃないかなって思った。
  • 演出の話。それぞれのペアの話
    • それぞれのペアの関係性が上手い具合にずらされて対比になってて良かった。よく見ると、キリコとイナリのペアがすごい。すごいことになっている。そういう何重にもなったお話に厚さを持たせる演出がなされていて、これはすごいぞ…と思う。目立たない部分ですごい丁寧に作られている。全公演観たいけど全部観ても16回なんだよね……。

大体こんな感じです。箇条書きですが。

  • 本当に面白かったですよ!次に公演があるときはぜひみんな見に行きましょう!

最後に

  • 自分はあんまり来なかったんだけれども、嫁がガラケーのデコとストラップをすごい褒めていた。
  • 自分が青春時代を過ごしたときのこととか当時の高校時代を思い出してガッガアガガガってなるらしい。
    • 「制服のスカートのポケットからストラップが出てるのが懐かしい」
  • 嫁が無理に連れて行った女子の人も同じようなことを言っていたので、アリスインデッドリースクールはもしかしたら男子よりも女子の方がぐっとくるのかも、と思った
    • すごいはまってグルグル目になる人多数
  • ただ、テニミュと男女比が逆で行きにくいって言ってた
  • なのでもっと女の子が観れるようになればなあ、と思う。

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あ、あと単行本の方もお願いします!