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藤子F先生原作の大長編ドラえもんのお勧めポイントを簡単に紹介する。【のび太の恐竜からねじ巻き都市冒険記まで】

3月21日まで、大長編ドラえもん の(全24巻)amazon kindle50%ポイントキャンペーンです。

今、映画に合わせてのキャンペーンだと思うんですが、amazonkindleで50%ポイントバックキャンペーンをしています。実質大長編ドラえもんが半額で手に入るという寸法です。やったね。
アマゾンプライムでは映画ドラえもんが新恐竜まで全作品公開中なので、ちょっとしたドラ祭りです。

大長編ドラえもんの見どころを簡単に紹介

というわけで、この機会に大長編ドラえもんの原作をぜひ読んで欲しい。そういう思いで、簡単レビューを書きました。といってもなんだか見てることが前提みたいなレビューになってしまってますが、そこは、まあ……。

とにかく、今がチャンスなので、見てない、読んでない人は、ぜひこの機会に大長編ドラえもんを摂取してください。
大長編ドラえもん、のび太の恐竜(1)からアニマルプラネット(10)までは万人にお勧めですし、それ以降の巻も(ちょっと人を選びますが)名作です。(個人的には夢幻三剣士推し)

のび太の恐竜

のび太の恐竜は新ドラの1作目の映画がとてもいいんですよ。初めて冒険に出かける(巻き込まれる)子供たちの不安や恐怖やドキドキやワクワクが描かれていて、本当にいいジュブナイル映画でした。

のび太の宇宙開拓史

宇宙開拓史の映画はギラーミンの描写に不満があって。原作では美学を持って行動する悪役なんですがそこがどうにも…。船を降りてのび太と決闘するシーンは、まさに『男の世界』で(だってあそこで決闘する理由は実は双方にない)お互いを敵と認めるこそのシーンでした。

のび太の大魔境

大魔境は、新ドラの映画化が過不足なく本当に完璧でした。ドラえもん映画を初めてみる人にお勧めするとしたら、『恐竜』か『大魔境』です。『いつでも帰れる冒険』が『帰れない遭難』に変わってしまうシーンは大長編ドラえもんの真骨頂です。

のび太の海底鬼岩城

リメイクして欲しいのになかなかリメイクならない作品。オカルトから科学まで。藤子先生の衒学的博物学的な部分が遺憾なく発揮された作品です。大長編になるとかっこよくなるジャイアン、糞度胸の据わってるしずちゃんなどキャラクターの魅力もたっぷり!

のび太の魔界大冒険

旧ドラの魔界大冒険の映画が人生初映画館ドラだったのでどうしても旧映画の方が新映画よりも好きです。刷り込みがある。のび太とドラえもんが石になってしまうシーンは本当に怖かったし、魔界の草原での迷子の絶望感!大長編は未知の世界を行くシーンが本当に好きです。

のび太の宇宙小戦争

まだ映画見に行ってない…。怖くて……。
一番好きな大長編ドラえもんかも。
大長編ドラえもんの中で敵味方のキャラクターが一番立ってる。キャラクターの行動で物語が駆動していくという、実は大長編ドラの中で異質な作品。
やっぱりしずちゃんは糞度胸。

のび太と鉄人兵団

語るのが難しい。ロボットかっこいいで済ませられないテーマがある。奴隷制と人種の違いについて。(藤子F先生の別の作品TPぼんでも奴隷制の話が何度か出てくる)それを乗り越えていくための『他人を思いやる温かい心』答えは陳腐だけれども、でも、それしかないのだと思う。

のび太と竜の騎士

謎!謎!謎!SF!空想科学世界!
地球空洞説や(当時は新しかった)隕石による恐竜絶滅説、もし恐竜が人間のように進化していたら?。学術的知識に裏打ちされた自由な空想こそドラの真骨頂であり、それが存分に発揮された作品。
風雲ドラえもん城、今の子はわかんないぞ!

のび太のパラレル西遊記

初の映画オリジナルドラえもん。なので単行本はありません。でもフィルムコミックは持ってた。
現実世界が侵食されるというのは今までのドラ映画ではなかったの。スープの中にトカゲが丸々入っていたり、出木杉から角が生えたり。日常が崩れる恐怖。本当に怖い。

のび太の日本誕生

冒険らしい冒険をする久しぶりの大長編ドラえもん。ペガサスやグリフォン、ドラゴンにのって7万年前の日本(と中国大陸)を飛び回る!
新映画ではTPではなく、自力でギガゾンビを倒すけれど、自分は旧映画原作のTPに助けられる方が好き。のび太たちは結局子供なので。

当時は学術的にそこまでわかってなかったところが多くて多分今F先生が作ったらもっと別の話になっていたと思う。現人類のクロマニヨン人の発生は4万年前だし、最古の洞窟壁画が6万年前でそのころ神や祭祀という概念があったかもわかんない。日本人のルーツも遺伝子的に解明されてしまったし…。

ちょっと話はそれますが。
旧映画のドラえもん裁判やラーメンのおつゆ。大人になって『山岳遭難の教訓 実例に学ぶ生還の条件』を読んで、本の中で紹介されている低体温症時の幻覚がのび太の見た幻覚とそっくりで、藤子F先生の博識に驚かされました。

のび太のアニマル惑星

大ごもりの夜のお祭りの描写がすごい好き。別の星の神話(とそのもとになった現実の出来事)の創造。とてもワクワクする。時代的なものもあり、環境問題がフューチャーされている。
おとぎ話的な世界が本当に楽しそうでいい。藤子F先生の描く動物人間は本当にかわいい。

のび太のドラビアンナイト

老いたシンドバッドが力を取り戻すシーンがかっこいい。
作中、延々と海で遭難したり砂漠で迷って脱水症状になって死にかけたり砂嵐に巻き込まれたりと旅の困難が描かれて、当時のアラビア世界の冒険がどんなに過酷だったか追体験できる。
あと、しずちゃんが……。

のび太と雲の王国

最後の方が駆け足になってしまっている作品。それはどうしようもなくて最後3話ほど先生の体調が悪くてコロコロ本誌でも休載になっていた。
環境問題や(今後頻出する)神様という概念にも触れられていて、ちょっと異色の大長編ドラだと個人的に思っている。
途中おかしくなってしまったドラえもんを介護するのび太、かなり切ない気持ちになる。

のび太とブリキの迷宮

ショッキングなシーンがあります。
ミステリー(?)になっているので、ちょっと内容を書きたくないな…。これから見る人には何の知識もなく見てほしい。
ミニドラが大活躍するのでミニドラ好きな人はお勧め!(差しさわりのないネタバレ)

のび太と夢幻三剣士

都合のいい夢の中に入り浸っていたい。その顛末の話なんだけど。
当時の価値観は『現実に帰れ』
でも今は、オンラインゲームとかVRとかメタとか『好きな世界でなりたい自分になれる』という価値観が出てきて、そういう視点で見るとすごく面白い。
時代が早すぎた。

のび太の創世日記

異色中の異色作品。
のび太が自由研究でミニチュア地球を作って、そこで『シヴィライゼーション』をする話。そして、そのミニチュア地球での野美一族の勃興とその系譜の大河ドラマ。(最後出木松博士も)
のび太自身がデウスエクスマキナ役をする作品。
僕、エモドラン!

のび太と銀河超特急

久しぶりの冒険ドラ!
大長編になると急にかっこよくなるのび太というメタ発言も出ます。
のび太の射的が冴える。安全な冒険の陰でうごめく敵など、ワクワク感が終始続いています。
…ところで、例の星、第三セクターが作った地方テーマパーク感があってちょっと胃が……。

のび太のねじ巻き都市冒険記

藤子F不二雄先生の原作ドラの最後で、途中からの漫画はアシスタントさんたちの筆になった。
狙ったわけではないだろうに、最後の大長編としてふさわしい作品になっている。
テーマは『神様からの卒業し自分の力で未来を切り開く』それがのび太の話、ぬいぐるみの話とセットで語られる。

(竜の騎士)、アニマル惑星、雲の王国、創世日記、では神様という概念が語られ、そしてこのねじ巻き都市では本当の神様が出てくる。
しかし、前者と後者では、神様に大きな違いがある。前者の神様は、デウスエクスマキナとして降臨し、取っ散らかった問題を解決してくれた。(創世日記においてのび太が神でありデウスエクスマキナだ)
しかし、ねじ巻き都市に出てくる神様は、問題を解決しない。後は君たちの仕事だといって、遠い世界に旅立ってしまう。
そして、また、ねじ巻き都市にとっての神様であるのび太たちは、ぬいぐるみたちの議会によって追放(もう少し柔らかい感じだけれども)されてしまう。
ねじ巻き都市は、神様からの卒業を描いていて、それからは自分の力で未来を切り開いていく、という物語だ。
そして、ドラえもん映画にはデウスエクスマキナが頻出する。タイムパトロールしかり、ドラミちゃんしかり。
それは、のび太たちが子供であるということに起因もしていて、とにかく大長編ドラえもんは、「子供たちは無力な存在である」ということを突き付けてくる。
なのにねじ巻き都市は、自分たちでやってみなよ、と、メッセージを送ってきてる。

最後の作品にするつもりで描かれたのではないのだろう。でも、最後の作品として、ねじ巻き都市はふさわしい作品だったと、僕は思う。

その後、大長編ドラえもんは、その意思を継いだ人たちによって25巻まで続くのだけれども、(そして、新ドラになっていくつかのオリジナル作品が作られた)デウスエクスマキナを使用しないということや、キャラクターの感情と物語を深掘りしていくなど、新しい試みがなされていった。それについてはまた今度。

とにかく、今は、ドラを浴びるのの絶好のチャンスなので

単行本と、映画ドラえもん。
上で書いたように全部お勧めですので、ぜひ接種してください。それでは。