今週のお題「一気読みした漫画」
パペラキュウ完結!読んで!
ずっと更新を楽しみにしていたweb漫画、『パペラキュウ』が2020年9月全110話で完結しました。
本当は完結したときに、「読んで!」っていうのを書きたかったんですけど丁度メンタルが悪かったもので……。
とにかく、言いたいことは一つ。パペラキュウ読んでください!
1話から40話まではこちらのサイトで、また41話からはamazon kindleでの発売ですが、unlimitedに加入すれば無料で読めます。
これが、本当にすごい物語なので、ぜひたくさんの人に読んでほしくてね、読んでほしいんですよ。
パペラキュウってどんな話?
パペラキュウは松永豊和さんが2011年8月から自らのホームページで毎月30ページほどの更新を続けて(総ページ数3000ページ)2020年9月についに完成した大河漫画です。
頭からハサミのついた手足の生える奇病、『パペラキュウ』をめぐる、罪と贖罪をテーマにした物語です。(だと自分は思ってる)
wikipediaの記事には『マモルとパペラキュウの少年サチオの奇妙な友情を軸にした長編SFミステリー』と紹介されていて、SFとか、ミステリが好きな人にも超おすすめです。
最初は、日常に紛れた異物についての話、いじめ、差別についてのお話として始まります(ウルトラマンの『怪獣使いと少年』のような)
しかし、話はどんどんと違う方向に向かっていきます。さながらジェットコースターのように、次々と物語は展開します。
国家的陰謀、警察の闇、第二次世界大戦時の秘密研究。そして、それと並行するように、サチオ少年の贖罪と、それを行うたびにどんどん罪が重なっていく運命の皮肉を描いています。
SF、ミステリとしても、とても面白いんですけれども、自分は、これを『罪と、贖罪と、そして許し』の物語なんですよ。
おすすめポイント
とにかく、読んでみてくださいとしか言えない。
よく、レビュー記事でネタバレにならないようにおすすめポイントを紹介してる人がいるけれども、あれ、すごいなあって思う。おすすめポイントを話すとそれはネタバレになる。とにかく、読んでください。そして、読み終わったら下の感想を読んで、そして感想をつぶやいてください、twitterとかで。
ネタバレ感想、というか考察
なぜ、マモルの罪だけ許されなかったのか。
終盤、サチオが神化して、モネネのやけどの跡を直し、いろんな人を生き返らせていくけれども、マモルだけは結局助けられなかった。
この物語は、主要登場人物の主人公側のほとんどが、過去に犯してしまった罪や、自分の先祖の犯した罪に対して罪悪感を感じていて、その贖罪のために、サチオを助けたり、国家権力の悪事を暴こうとするけれども、神化したサチオによって、贖罪を行う前に”許されて”しまう。モネネの傷は治されて、国家権力の悪事の暴露については「もういいよ」と言われてしまう。(ちなみにこの国家権力の悪事、国に恨みでもあるのかってレベルで執拗に書かれています)(でも実際に国のしたことを知ってると大体同じレベルのことがあったってわかるんだよな……)
ただ、マモルだけが、サチオの奇跡に間に合わず(というか奇跡の力切れで)生き返ることができなかった。サチオも、マモルを助けられずに死んでしまった。
罪を償うということ、罰を受けるということ。
サチオとマモルとほかの人間の違いは、二人が(本人たちが罪だと思っていることの)罪を償っているということだ。
サチオは、パペラキュウのせいで人生がくるった人間の数だけ人を助けて(生き返らせて)マモルは自分のせいで死んでしまったサチオの父のために、何人も殺してしまう。罰を受けて死ぬというならマモルは罰を受けるだけのことをしている。でも、ほかの人間が許されたみたいに許されてもいいはずだ。
思うに、これは信仰の話で、神は助ける人間と助けない人間を区別しないという話だと思う。区別せず、籤のようにたまたま選ばれた人間だけが助かって、そうでなかった人間は助からない。それでも神を信仰するかという話だと思う。
ほか、思ったこと
- モネネすごいきれいだと思った、こういう絵が描けるのうらやましい。
- ふくろう島はハンセン氏病の隔離施設を思わせる。他にもたぶん自分の知らないところで『国のした悪事』を元ネタにした描写があるんだと思う。
- 毛玉マンションの801号室ってもしかして……。