orangestarの雑記

小島アジコの漫画や日記や仕事情報など

色々なことを忘れてしまっているけれども、時々、かけらのように風景や匂いがよみがえってくるんだ。

今はだいぶ寛解しているのだけれども、うつ病にかかっていて。
うつ病はいろいろ症状があるけれども、一番大きなものが、頭が悪くなる、というもので。


気が付いたらいろいろな記憶を忘れてしまっている。
小学校の頃のおもいでとか、中学校のときのこととか、高校の時のこととか。文化祭や、修学旅行や、友達のこと。その時は多分、忘れないだろうな、と思ったような気がするけれども、すっかりと忘れてしまっている。自分が根無し草のように、地元というものを持たずにいろいろな場所を渡り歩いているから記憶が強化されずにただ、砂に書いた文字のようにフェードしていってるのかもしれないし、そういうのは自分だけでなくて、他の色んな人もそうなのかもしれない。


自分の、高校の文化祭は、内向きな文化祭で、出店とかはなく、外から別の学校の生徒がやってくることもなく。展示と、体育館を使った出し物のみの、さみしいものだったけれども、そこでビデオをとったりとか、いろいろ楽しかった。そういうこと、忘れないと思っているのに、いつの間にか、記憶は断片になって、そして当時の友達にも連絡を取らなくなって。なんども引っ越しをして、多分連絡ももう取れないだろう。電話番号もなくしてしまった。住所も変わってしまった。写真もない。そんなにとる習慣もなかったし、デジカメもなかったのだ。


携帯電話も当時はなかったし、そしてあったとしても番号も変わってるだろう。


自分は、21の時から携帯電話を使っているけれども、それまでにやはり、携帯電話の番号やメールアドレスは変わっている。


人も、場所も、記憶も、失われて、そしてもう再会することもないんだろう。


思い返すことも、毎日の忙しさのなかで、なくなって行って。



ただ、夜の匂いや、草や気の匂い、錆びた鉄の手すりの匂いを嗅ぐたびに、かけらのように風景や匂いがよみがえってくるんだ。