戸田奈津子訳というのは、色々揶揄されたりネタにされたりしてるけれども(自分もしたりしてるけれども)
でも、あれは技術としては物凄い。
一目で目に入る範囲の文字数で、しゃべり言葉から作品中の役割、上下関係、身分を感じさせて、ローカルな地域の空気感で理解できるように世界観を翻訳する(ここのところで揶揄されたりネタにされたりするもとになっているんだろうけれども)
古い映画のタイトル、元タイトルと日本語タイトルの異なる映画、翻訳小説ってかなり多いと思うんですけれども、あれは、(ファンタスティックフォーが宇宙忍者ゴームズとか)対象としている日本人のほとんどの人のセンスに合うように、原作のエッセンスと面白い部分を残しつつ、ローカライズさせた結果だと思うんですよ、事実そうだと思うし。で、戸田奈津子訳というのは、その時代のなごり、なのだろうなあと。
向こうの映画の雰囲気や原作の忠実性を重視する人には許せないというのもわかる。
戸田奈津子訳というのは、例えるならスパゲティーナポリタンみたいなもので。
ローカルでの口に合うように工夫された料理。
本場のイタリア人や本場のイタリアンを知る人間からみると噴飯ものだろうけれども、しかし、そういうナポリタンみたいな料理が、日本の家庭にパスタを広めていった。多分ナポリタンが無かったら今のイタリアンの下地もなかったんじゃないかなって思う。ラーメンだって、コロッケだって、カレーだって、全部そうやってローカライズされてきたものだし、その下地があるから、本場の中華料理屋やカレーを味わえる素地が出来ている。
戸田奈津子訳、や、ほか、あの頃の映画人の仕事というのは、そういう、洋画を観る舌を作る、というのだったのじゃないだろうか。
結局今、洋画離れとか、海外作品離れって言われているけれども、その原因として、そういう風にローカライズした味付けをする人がいないからなんじゃないかなあって思う。*1
あとジゴワットは積極的に使っていきたいです。

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*1:なんか日本人なんだから生魚入れておけばいいだろうみたいな無理ローカライズはよく見ますけど