ガーナのお葬式は、盛大にやる。具体的には、故人が好きだったものをかたどったでっかい棺桶をオーダーメイドで作って(たとえば船とか魚とかガチョウとか)年収の半年分をかけて、一族集まって壮大にやるそうだ。一生のうちで一番派手なお祭りらしい、死んでるけど。
その番組で、ドキュメントした家族のお葬式(のトラブル)が三谷幸喜の書いた戯曲みたいだった。
- 故人(おじいちゃん)は魚が好きだったので、魚の形の棺桶にしてほしいっていっていた
- また、故人の妻(おばあちゃん)も時間をおかず三か月後くらいに死んだので、両方とも冷凍保存して、合同で葬式をすることに
- 喪主の独断で、「家の象徴がインコなので魚をやめてインコにしよう」と故人の意思を無視して決定(一応親族会議はしたらしいけれども
- 葬式一週間前、その話を親族のおばちゃんが蒸し返す「やっぱり故人の遺志を尊重して魚にするべきよ!お葬式は伸ばしましょう!」それを聞いていた棺桶を作る人*1が青ざめる(けれども部外者なので一切口にだせない
- いかさま臭い多数決の結果、そのままインコで行くことに。胸をなでおろす棺桶職人
- で、葬式の日、この日初めて棺桶の除幕式になるんだけれども、それまでどんなものになってるのか誰も知らないし打ち合わせもしないっぽい。劇的ビフォーアフターかよ。ここで親族が気に入らなかったらやり直しになって葬式延期とかもあるらしい。報連相という概念がない。
- この番組の棺桶は、親族一同から大絶賛。こんな素晴らしいものを!ありがとうありがとう!という感じでとてもよかった。自分の素人目に観ても本当に出来のいい棺桶でした。
- で、親族一同で、お墓まで。ここのお葬式は土葬で、この棺桶に入れたまんま、コンクリートで周囲を囲んだ穴の中に入れて土で埋める、というものらしい。
- ところが、いざ、埋める段階になって大きな問題が。
- 棺桶が大きすぎて墓穴に棺桶が入らない!!!!
- 騒然としてもめだす親族一同。「だからもっと大きく掘ろうって言ったんだ!」いや、その前に報連相という概念が。
- どうやって解決したかというと「棺桶のインコの足を切って入れる」いいんだ!切っていいんだ!
記憶だけで書いているので、詳細とか曖昧だし(番組名も覚えてない)、もしかしたら記憶違いがあるかも知れないのですけれども、トラブルの発生の仕方と解決の仕方が本当に三谷幸喜の脚本みたいで、本当に上質のドキュメンタリーでした。面白かった。
余談
葬式の準備が整うまでに半年くらいかかるので、遺体はその期間冷凍保存するのが一般的なんだけど、冷凍保存されている死体をみて、嫁が、
「あれ絶対ドリップでよる…」
って心配してたのが印象的だった。
そのあと、葬式が始まって半解凍*2されたおじいちゃんが式場の椅子に座って白い衣装を着てるんだけれども、身体の周りに豆電球の電飾を巻かれて(キラキラしている)るのをみて、
「豆電球の熱で溶けてドリップでる…」
ってやっぱり心配してた。
あと、出来のいい棺桶を観た時嫁が
「自分なら蟹の棺桶に入る……」
って言ってた。その時僕は(冷凍ガニ…)って思った。