orangestarの雑記

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刑務所の民営化がうまくいかないいくつかの理由、および刑務所の民営化でだれが得をするのか。

http://mainichi.jp/select/news/20120626k0000m040042000c.html

杉良太郎さん:刑務所の株式会社化を提案
毎日新聞 2012年06月25日 19時29分(最終更新 06月25日 22時39分)

 法務省から、刑務所運営アドバイザーの「特別矯正監」を委嘱された俳優の杉良太郎さんが25日、省内で記者会見し「受刑者の処遇に税金を使わない形を検討すべきだ」と述べ、刑務所の株式会社化を提案した。
(以下略)

とりあえずなんか書いておかなきゃと思ったので。

ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)

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累犯障害者 (新潮文庫)

累犯障害者 (新潮文庫)

時間があったらよんでみてください。貧困大国アメリカについては以前読書感想文を書きました。
貧困大国アメリカ2 - orangestarの日記

読んだ。

4章のアメリカの刑務所の現状がカイジの地下強制労働場以下で驚愕した。(主に民間刑務所)

軽犯罪で捕まると、その瞬間にローンが課され、刑務所に収容されると1日ごとにその生活費、食事代が請求され、それを返す為には労働をしないといけないけど一番割のいい労働でも月に1万程度で、それ以外はカイジ地下帝国以上の低賃金重労働で歯磨き粉を買う為に50日働き続けないとという労働地獄

刑務所に1年半入って出てきたら、借金と、その利子とかで200万の借金が背負わされ、それ、どうやっても返せないし、借金がそれだけあるとどこも雇ってもらえないし、結局菓子パンを万引きして、また刑務所に入る。で、スリーアウト制っていう3回刑務所に入ると問答無用で終身刑っていう制度があるから、カイジ以下の奴隷の出来上がりっていう、すごい仕組み。

娑婆は地獄で、こういうのが普通になると、カイジとかファンタジーで楽しめなくなるし、現実が架空のディストピアを追い越すのはもういい加減にして欲しいと思った。日本でも、ごにょごにょとかな。

日本において犯罪を犯す人間は、ほとんどが、貧困や福祉の不在により、生活が立ち行かなくなってどうしようもなくなって・・・・・・という人間が多く、つまり、失礼な言い方をすると労働市場から排除された人間がほとんどです。また、福祉から排除された人間の、最後の福祉としての役割も果たしています。(累犯障害者参照)そういう状態ですので、一般的な労働を持ち込んでも、うまく採算が取れるようになるとは思えません。(刑務所の運営を受刑者の労働でまかなおうとすると、受刑者は“自分の食い扶持分”+“施設の維持管理分”+“刑務官などの給料”分の仕事(稼ぎ)をしないといけないはず)
事実、日本でも、PFIで試験的に運営されている刑務所がありますが、実態は結構怪しい経営状態だったりします。
じゃあ、民間刑務所はどうやってマネタイズするのかというと、
1、受刑者の(労働者としての)質を上げる
2、実際刑務所の運営はどうなろうとしったこちゃないけど、最初に証券化して毎年払われる国からの委託費で稼ぐ
の2つ。実際にアメリカで起こってるのはそういうようなことです。
上記の貧困大国アメリカ2を参照。
一般の企業からは最低賃金以下の、インドよりも安い労働市場が国内にできるということで、そういう人にとっては刑務所の民営化は歓迎されるところだと思います。
多分、杉先生は本当に善意で動いてらっしゃるんでしょうが、その先にあるのは地獄しかないと思います。
“働けば自由になる。”